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作成日:2024年7月4日

弁護士費用特約とは?利用場面や補償内容・注意点・加入するメリットを徹底解説!

自動車事故の中には、もらい事故のように当事者間で解決が求められる事故があります。このようなとき、頼りになるのが自動車保険の「弁護士特約」です。

オプションとして加入していれば、弁護士の紹介や依頼費用の補償を受けられるため、いざというときでも落ち着いて事故対応を進められます。

本記事では、弁護士特約とは何か、利用場面や加入するメリット、注意点を紹介します。万が一の事故に備えたいとお考えの方は、ぜひご一読ください。

弁護士費用特約(弁護士特約)とは損害賠償請求時の弁護士費用の補償を受けられるもの

弁護士費用特約(以下、弁護士特約)とは、自動車事故などの被害者になったとき、加害者に対する損害賠償請求時に必要な弁護士費用などを補償する制度です。自動車やバイクなどの車両保険(任意保険)の他、住宅の火災保険に付帯されているケースもあります。なお、名称は保険会社により異なることがあります。

通常、補償の範囲は契約者本人だけでなく、家族や契約車両に乗る人も対象です。また、弁護士費用の他に法律相談に必要な費用が補償されるものもあります。

特に、信号待ちをしているときに後ろから追突されるもらい事故のように、過失割合が100対0の事故は、被害者自身で加害者と交渉をしなければいけません。もらい事故で保険会社が示談交渉をしてしまうと、弁護士法第72条に違反するためです。

オプションとして加入していれば交渉を弁護士に委任し、その分の費用は補填されます。なお、自身が加害者(過失割合100%)のときは利用はできません。

弁護士特約の2つの補償方法(種類)

弁護士特約の2つの補償方法(種類)

弁護士特約には「自動車事故限定型」と「自動車・日常生活事故型」の2つのタイプがあります。それぞれ、弁護士費用が補償される事故の種類が異なるため、契約前によく確認しましょう。

自動車事故限定型:自動車事故のみが対象

自動車事故限定型は、名称の通り自動車事故が原因で生じた弁護士費用のみを補填する制度です。なお、自動車を運転中の事故だけでなく、歩行中に自動車にはねられたときなども該当します。ただし、勤め先の車で事故に遇ったときは補償対象外となっている保険商品が多いため事前に確認しましょう。

補償範囲は限られているものの、その分保険料を抑えられる点がメリットです。

自動車・日常生活事故型:自動車以外の日常生活中の事故も対象

自動車・日常生活事故型では、上記で説明した自動車に起因する事故の他に、日常生活中の以下のような事故が原因の弁護士費用も補償する制度です。

  • ・自転車に追突されけがをしたとき
  • ・近所で飼われている犬に噛まれてけがをしたとき
  • ・財布などを盗まれ犯人が判明しているとき
  • ・集合住宅で上階からの水漏れにより家財道具が壊れたとき

なお、日常における刑事事件の弁護士費用などは補償対象とならないことがあります。広範囲の事故が補償されるものの、保険料は上がりやすくなります。

弁護士特約を使う4つの場面

弁護士特約を使う4つの場面

弁護士特約はもらい事故の他に、加害者が任意保険に未加入で交渉に応じないときや、賠償金額に納得がいかないときなどにも利用できます。具体的な利用場面を4つ紹介します。

もらい事故の被害に遇ったとき

もらい事故とは、被害者に一切の過失がない事故のことで、先述したように法律上、保険会社が示談交渉を進めることはできません。そのため、被害者自身、もしくは弁護士に委任して交渉を進める必要があります。

オプションに加入しておけば、保険会社から弁護士が紹介される、または、自身で弁護士を選び示談交渉を進められます。弁護士費用が補償されるため金銭的な負担の軽減が可能です。

加害者が任意保険に未加入で交渉に応じないとき

事故の加害者が任意保険に未加入の場合、自賠責保険のみの損害賠償金では不十分なことも少なくありません。この場合、加害者本人へ損害賠償請求を行うものの、直接の示談交渉では過失を認めない、損害賠償金の金額がまとまらないなど、交渉が難航するケースもあります。オプションとして付けていれば、このようなときも弁護士に交渉を依頼でき、話しがこじれるのを防止できます

任意保険と自賠責保険の違いを知りたい方は以下の記事をご覧ください。
任意保険とは?自賠責保険との違いや補償範囲・選び方を解説

示談金や賠償金交渉がまとまらないとき

損害賠償額は過去の事例をもとに過失割合などを考慮して決定され、被害者と加害者双方の合意により確定します。なお、確定しなければ損害賠償額は支払われません。中には、損害賠償額の内容で交渉がこじれ、訴訟にまで発展する場合もあります。このようなときでも、オプション加入していれば、費用負担を軽減して弁護士に交渉や裁判の依頼ができます

日常生活の事故で加害者が治療費や慰謝料などを払わないとき

弁護士特約の「自動車・日常生活事故型」では、生活中の事故に起因する弁護士費用が補償されます。なお、この場合、依頼費用と相談費用、どちらも補償されます。慰謝料を請求したいけれど該当するか分からないときなども、費用負担を軽減し相談できるので安心です。

弁護士特約は利用しても等級が下がらない

自動車保険では、前年の事故歴の他、保険の使用回数によっても保険料を算出する等級が下がります。しかし、弁護士特約は例外的に、保険金を受け取っても翌年度の等級は変動しません。このため、翌年から保険料が上がる心配もありません。

これを「ノーカウント事故」といい、他に、人身傷害保険や搭乗者傷害保険、ファミリーバイク特約が使用されたものなども該当します。なお、弁護士特約のみを利用したときは等級に変動はないものの、併せて車両保険や対物保険などを使用したときは、等級が変動する恐れがあるため注意しましょう。

自動車保険の保険料の仕組みは以下の記事で詳しく解説しています。
自動車保険料の仕組みを紹介 保険料が決まる基準とは?

弁護士特約で補償される人の範囲

弁護士特約は契約者本人(被保険者)だけでなく、その家族なども補償の対象になります。詳しくは以下のとおりです。

  • ・契約者本人
  • ・契約者の配偶者
  • ・契約者と同居中の親族(例:実父母、兄弟姉妹、子、配偶者の父母など)
  • ・契約者と別居中の未婚の子
  • ・契約自動車の所有者
  • ・上記以外で事故時に契約車両に乗車していた者

保険会社により異なるものの、配偶者とは婚姻関係にある者だけでなく、内縁者や同性パートナーも含まれることがあります。

弁護士特約の補償内容と保険金額

弁護士特約では、大きく分けて「損害賠償請求費用」と「法律相談費用」の2つが補償され、それぞれ保険金額が異なります。

保険金の種類 補償内容 保険金額
損害賠償請求費用 弁護士や司法書、行政書士への着手金・報酬費用、訴訟費用、仲裁・和解・調停に必要な費用など 約300万円(税込)まで(1回の事故で被保険者1名当たり)
法律相談費用 弁護士への法律相談費用、司法書士法、行政書士法に対する相談費用など 約10万円(税込)まで(1回の事故で被保険者1名当たり)

弁護士費用特約で支払われる保険金の上限額は補償対象者1名につき300万円のため、例えば家族3名で自動車に乗車中、事故に遇ったときは900万円まで補償されます。

なお、弁護士費用が保険金額を超えたときは個人で支払いが必要です。ただし、300万円を超えるのは、獲得金額などが1,000万円台後半になるようなときに限られるため、多くの交通事故では自己負担額は生じません。

弁護士特約の補償が受けられないケース

以下の事故の場合、補償を受けられないことが多いので注意しましょう。

  • ・被害者の故意による事故
  • ・被害者の重大な過失による事故(自損事故を含む)
  • ・無免運転や酒気帯び運転で生じた被害事故
  • ・薬物などの影響を受けた状態で運転中に生じた被害事故
  • ・損害賠償請求の相手が親族となる事故
  • ・自然災害や暴動・戦争により生じた事故
  • ・弁護士特約に対応していない車両で生じた事故
  • ・事故後に弁護士特約に加入したときの加入前の事故
  • ・その他社会通念上不当とされる損害賠償請求や法律相談

親族を相手に損害賠償請求を起こす場合、家庭内の問題となり補償の対象外となっています。なお、弁護士特約は事故が発生した時点で加入していなければ、その事故に対して使うことができません

弁護士特約に加入するメリット

弁護士特約に加入するメリット

弁護士特約に加入すれば、弁護士費用だけでなく相談料も補償されます。万が一のときも費用負担の心配をせずに問題解決の方法を検討できるでしょう。また、弁護士に交渉を依頼することで、賠償金額の増額も期待できます。

発生件数の多いもらい事故に備えられる

加害者のいる事故の3件に1件はもらい事故といわれています。実際に事故に遇ったときは自身で加害者と話し合い、損害賠償の請求まで行わなければいけません。オプションとして弁護士特約に加入しておけば、万が一発生件数の多いもらい事故に遭遇しても、経済的・精神的負担を軽減して事故後の対応に当たることができるでしょう

弁護士費用だけでなく相談費用も補償される

弁護士特約は弁護士費用だけでなく、相談費用も補償されます。交通事故の慰謝料額は必ずしも納得できる金額が提示される訳ではありません。オプションで追加していれば、相場よりも低いと感じ納得がいかないときでも、費用を気にせず賠償額の妥当性を相談できます。

賠償金額の増額が期待できる

交通事故の慰謝料の計算方法にはいくつかの基準があるものの、多くの保険会社は「任意保険基準」に基づき金額を提示します。一方、弁護士が提示する慰謝料請求は「弁護士基準」にのっとったものです。通常、慰謝料は弁護士基準で計算した方が高額となるため、当事者同士で交渉するよりも、高額な賠償金を請求できる可能性が高まります

依頼する弁護士を選べる

弁護士特約では、保険会社が紹介した弁護士に依頼するか、自分で弁護士を選んで依頼するか、自由に選択できます。交通事故に強い弁護士や地元で有名な弁護士などにも依頼できるため、相性の良さや弁護士の強みなど自分の基準で選ぶことが可能です。

弁護士特約契約時・利用時の注意点

自動車保険のオプションには弁護士特約と似た名前のものもあり、中には法律相談費用しか補償されない特約もあります。また、同様のオプションをいくつか契約していたとしても、補償内容を重複して受けることはできないため注意しましょう。

「法律相談費用特約」では弁護士費用が負担されない

弁護士特約と似たオプションに「法律相談費用特約」があります。こちらは法律相談費用のみを補償するもので、実際の依頼費用は全額自己負担となるため注意が必要です。自動車保険のオプションの中には似た名称で内容が大きく異なることもあるため、どのような補償が受けられるか確認してから契約しましょう。

補償内容の重複はできない

弁護士特約は補償内容が同じものに二重で加入していても、受け取れる保険金額が倍増する訳ではありません。あくまでも、損害額または上限額までの保険金しか受け取ることはできません。家族が同様の保険に加入していないか、火災保険に弁護士特約は設定されていないか、事前に確認しましょう。

利用時には保険会社に事前承認が必要

弁護士特約を使うときは、保険会社への事前承認が必要です。連絡せずに先に相談などをしてしまうと、補償を受けられない恐れもあります。通常、事故が発生した日の翌日から180日以内に、事故の発生日時・発生場所・被害状況を連絡します。加害者が判明しているときは、加害者の氏名と住所も併せて連絡しましょう。

弁護士特約と同じ保険会社への保険金請求には利用できない

弁護士特約を契約している保険会社の保険金請求時には利用できません。例えば、AさんがB社の自動車保険に加入している場合、交通事故によりB社に人身傷害保険金の請求をするときに、同じくB社の弁護士特約を利用して弁護士に保険金の請求を依頼することはできないということです。あくまでも、加害者への損害賠償請求時に利用できる制度のため注意しましょう。

弁護士特約でもらい事故や損害補償金請求に備えよう!

弁護士特約とは、弁護士への依頼費用や相談費用の補償を受けられる、自動車保険などのオプションです。加入しておくことで、費用負担の心配をせずに迅速な問題解決が期待できます。なお、特約の具体的な内容や利用条件は各保険会社により異なるため、よく確認してから契約しましょう。

JAL保険ナビでは約40種類の豊富な保険商品を取り扱うだけでなく、専門家が無料で保険のご相談にお答えしています。弁護士特約など、自動車保険のオプション選びに悩んだときは、ぜひお気軽にご相談ください。

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